ドイツ国籍になって、変わったこと

1/12/2016のこちらの記事に書いたように、昨年末、ドイツ国籍を申請しました。外国人局の担当者の話では、手続きには通常3ヶ月ほどかかるということだったので、3月に入ってから「そろそろかな?」と気にして郵便受けを覗いていたのですが、なかなか連絡がありません。3月半ばを過ぎた時点で、こちらから電話をしてみました。

すると、もう証書を受け取りに来ていいですよとのこと。証書はすでに担当者の手元にあったけれど、忙しくて連絡が後回しになっていたのかもしれません。予定が立て込んでいたためすぐに受け取れず、今月頭に行って来ました。

約束の時間に担当者のオフィスに行き、Urkundeと書かれた証書を受け取りました。そのときに「この文章を声を出して読んで、サインしてください」と渡された別の書面には「私はドイツ基本法を尊重し、これを守ります」という趣旨のことが書いてあります(その書類は手元にないので、正確な文章は覚えていません)大きな声で読み上げてサインすると、担当者は立ち上がり、「おめでとう!あなたはドイツ国民です」と言って、右手を差し出しました。「ありがとうございます!」と言いながら握手をすると、担当者は一瞬かがみこんで机の後ろに隠してあった花束をジャーンと出し、「お祝いです」と言いながら渡してくれました。これにはちょっと驚き、感激しました。

国籍

「毎年、前年度に新しく国籍を取得した方々のためのお祝いセレモニーがあります。あなたの場合は来年の5月になりますが、セレモニーにご招待しても良いですか?参加は義務ではありませんが」

はい、もちろん。

「セレモニーの際、パネルディスカッションに参加することに、興味がおありですか?」

「パネルディスカッション?何のディスカッションですか?」

「テーマはそのときによっていろいろですが、政治的・社会的テーマですね。移民の社会への統合についてとか、、、」

はい、あります!是非、参加したいです。

担当者にお礼を言い、花束と証書を手に外に出ると、お役所の前の桜が満開でした。なんだか大学入試に合格し、入学式を終えたときのような晴れやかでワクワクした気分に。

 

順番が前後しますが、外国人局を出る前に、担当者にこう言われました。

「これであなたはもう外国人ではありませんから、外国人局にある外国人としてのあなたのデータは抹消します。住民局にもすぐに連絡をしておきますから、身分証明書とパスポートを申請して大丈夫ですよ。これからはあなたの出生証明書もドイツの役所が発行しますよ」

日本へ国籍を失ったことを報告する義務は私自身にあり、ドイツのお役所はノータッチとのことです。もちろん、決められた通りに報告します。でも、まずはドイツの身分証明書を発行してもらわなければなりません。さっそく手続きに行って来ました。ドイツでは身分証明書やパスポートは市役所または村役場で申請し、そのために必要な書類はネット上で確認できます。ただ、私は「国籍変更者」なので、手続きが通常とは違う可能性があると思い、まずは村役場に相談に行きました。念のため、国籍取得証書と日本のパスポート、婚姻証明書(日本の戸籍のデータがドイツ語で記載されているため)、写真を持参しました。

村役場は我が家から、車で3分。待合室は空いていたので、すぐに中へ。

「身分証明書とパスポートの申請をしたいのですが。実はドイツ国籍を取得したばかりで、、、」

「そうですか。証書は持って来ましたか?」

「はい、これです」

担当者、証書をすばやくスキャン。

「はい、お返ししますね。出生地と生年月日がドイツ語で書かれたものをお持ちですか?」

「婚姻証明書なら、持ってきました」

「ああ、それで大丈夫です」

シャーッとスキャン。

「はい、では指紋スキャナに人差し指を置いてください」

チャッと指をスキャン。持参した顔写真もピッとスキャン。

「はい、このタブレット上で申請用紙の記載事項を確認して、タッチペンでサインしてください」

え?申請用紙に自分で記入しなくてもいい!?今、スキャンしたデータが自動転載されています。すごいわ、これ。大使館でパスポートを更新するとき、書類に書き損じがあると最初からやり直しになるので、いつも緊張してたんです。この方法なら、書き間違える心配もなくていいですね。便利な世の中になったものです。

発行手数料の支払いも銀行のデビットカード読み取り機で一瞬。

「はい、では身分証明書が来たら通知しますね。2週間後になります」

終了。え、もう終わった?あまりにスピーディで拍子抜け。家を出てからまた家に戻って来るまでに、20分もかかりませんでした。私がしたことは人差し指をスキャナに載せたことと、タッチペンでサインしたことだけ。

ドイツ国籍があるって、こんなに楽なんですね。当然ながら、もう外国人局へ行って番号札を引いて待つことも、日本から書類を取り寄せたり、それを翻訳したりすることも、最寄りの領事館へパスポート更新の手続きに行ったり、できたパスポートを取りに行ったりすることも必要ありません。「10年に一度のパスポート更新手続きくらい、たいしたことがない」と言えば確かにそうですが、ドイツ国民としての手続きは、やはり比較にならないほど簡単だと実感しました。また、将来、痴呆になったりして自分で手続きができなくなった場合も、家族に面倒な思いをさせなくて済みます。少しホッとしました。やっぱり、身の回りはシンプルな方が良いです。

他にドイツ国籍を取って変わったことといえば、選挙に参加できるようになったこと、EU市民なのでEU内ならどこへでも移動・定住・就労できること。これも大きなメリットと思います。

気持ちの上で何かが変わったかと聞かれるかもしれません。そうですね、「日本人であること」に関しては特に変化を感じていません。法的には日本人ではなくなりましたが、日本で生まれ育ったことは永遠に変わらない事実なので、やっぱり(少なくとも半分は)日本人のままです。ただ、ドイツ人になったので、もっとドイツをよく知りたい、もっと楽しみたいとは感じています。

これからもっと何か心境の変化のようなものがあるのかもしれませんが、今のところはそんな感じです。