超文系から理系になる これまで辿ってきた道 その6(最終回)

日本に一時住んでいた頃は一般向けの科学書、ドイツに戻ってからはジュニア用の学習書やテレビの科学番組などで科学情報にランダムに触れていましたが、そのうちまた感じるようになって来ました。

うーん、なんかダメだわ。このままでは。

いえ、本や番組は面白くてためになるのですが、どうも私は自分の好きなところだけ読んで、難しいところを無意識にスルーしてしまうので、知識が穴だらけで、結局、自分がどこまでわかっているのかサッパリわからないのです。なんとなく理解したような気がするだけで、私、実はほとんど理解していないんじゃないだろうかという気がしてしかたがない。

そこで、もっと系統立てて学ぶ方法はないかなあと思い、今度は高校の教科書を取り寄せて読んでみました。

ブルーバックスから出ている「現代人のための高校理科」シリーズの「新しい高校生物の教科書」を読みました。

とても面白かったです。でも、読んでみて気づいたことは、「自分が高校生のときには習わなかったことがいろいろ出ているなあ」ということ。この「現代人のための高校理科」は検定外教科書とのことで、実際に高校で使われる教科書の内容とはいくらか違うそうですが、科学は過去数十年の間に目覚ましい発展を遂げたのだということを実感しました。たとえばこの教科書では遺伝子操作などについてページが割かれています。

うーん、自分の頃と比べ、今の学生は覚えることがたくさんあって大変そうだなあ。でも、自分のような中年は学校で習ってすらいないことが多く、もっと世の中に置いていかれているのかもしれない、、、。

そんなことを考えていた頃、偶然、英国在住のある方から聞きました。

「私の住むイギリスには、社会人がいつでも学び直せる大学があるんです。通信制の講座が主で、英国だけじゃなく、他の国からも受講できるんですよ」

通信制大学かあ。面白そうだなあ。

なんとなく気になって、すぐにその大学(英国オープン大学)のHPにアクセスしてみました。すると、自然科学の講座もあるではないですか!!これには驚きました。私の住むドイツにも通信制の大学がありますが、当時、理系の講座は数学だけだったと記憶しています。

英オープン大には入試もなく、誰でも入学できると書いてあります。講座は当然、英語で行われるので一定の英語力は提示する必要がありますが、私は元々、英文科卒だったので、新たに英語の試験を受ける必要もなさそう。その頃はまだ子どもが小さく、通学するのは無理でした。通信制の大学は魅力的に思えました。

これはやってみるしかない!?思わず、反射的に理学部に登録してしまいました。

とは言え、まさか自分が大学で本格的に自然科学を学ぶなんて、現実のことだとは自分でも思えず、これはチャンスと飛びついてしまったものの、できる自信はほとんどありませんでした。中学や高校理科をやり直すのとはわけが違います。今までまったくやったことのない内容、それも苦手な分野を新しく始めるわけで、それも今度は英語で、、、。いくらなんでも無理では?という気がしましたが、英オープン大は講座ごとに申し込むことができ、必ずしも学位取得を目指す必要はないらしいのです。自分が履修したい講座だけを受講することができ、いつでも好きなときにやめることができる。それなら受講料を無駄にすることもないと、とりあえず一つだけ、やってみることにしました。

(英国オープン大のしくみについては、こちらに書いています。)

そんなわけで、理学部の学生となった私。いやー、信じられません。

最初の講座は、やっぱり難しかったですよ。英語の教科書を読むのは特に苦痛ではなかったですが、試験やレポートも英語で書かなければならないので、慣れるのに時間がかかりました。試験答案はワードで作成してオンラインで提出するのですが、ワード文書に数式やグラフを埋め込むようなことを日常生活でやったことがありませんでしたから、まず、そのやり方を覚えるのが大変で、講座の内容以外の余計なことに多大な時間をロスしてしまい、最初は大変でした。

でも、なんだかんだと言いながら、どうにかいろいろな関門を一つ一つクリアして行き、ゆっくりとゆっくりとではありますが、受講を重ねて来ました。幸い、どの講座も不合格にならずに進んで来て、とうとう学士過程最後のモジュールに辿り着きました。現在、卒業論文に取り組んでいるところです。

思えば、これも長い長い道程でした。最初は子どもの付き合いの虫捕りから始まって、もうちょっと知りたい、もうちょっとやってみたいと前に進んで来た結果、今の地点に立っています。苦手なことでもやり続ければ前進するんだなあ。歩き続ければ、いつかどこかに辿り着くんだなあ。そう思いながら、卒論を書いていますよ。

ゴールはもうすぐ。がんばります。