フリーランス翻訳者適性チェックリストを作ってみた

自宅の窓からの眺め。寒そうでしょう? 最近、お天気悪いのです。

 

長いこと、フリーランスの在宅翻訳者をやっています。

私の場合、フリーランスの翻訳者になりたいと思い、そのための準備をしてフリーランス翻訳者になったというよりは、気づいたら始めていました。そして、そのまま止めずに現在に至っています。(正確には、育児中の一時期、専業主婦だったこともありますが)

自分ではかなり飽きっぽい性格だと思うのですが、いまだに翻訳を続けているということは、この仕事が合っているのだろうなと思います。これまでの間に翻訳する言語や分野は変わりましたが、翻訳をするということと、フリーランスというワークスタイルは変わっていません。オンサイトの翻訳者として働いたこともありますが、在宅勤務の方が自分に向いていると感じます。

翻訳の仕事も、フリーランスとして働くということも、在宅勤務というワークスタイルも、当然、向き不向きがあるでしょう。

これまでを振り返って、フリーランスの在宅翻訳者として働くのに向いた性格とはどんな性格だろうかと考えて、適性チェックリストを作ってみました。翻訳の仕事には様々なジャンルがあり、そのジャンルによって翻訳者に求められる適性やワークスタイルは多少異なるだろうと思います。また、その人の生活状況(住んでいる場所や家族の有無、健康状態など)によっても変わって来るでしょう。ですから、以下は私が考える適性リストに過ぎませんし、リストの項目すべてが自分に当てはまらなければフリーランス在宅翻訳者には向いていないということでもありませんが、これから在宅フリーランスで翻訳の仕事をしようかなと思っている方の参考になれば幸いです。

在宅フリーランス翻訳者適性チェックリスト

 

⬜︎ 文章を読むのが好き

これは、語学が得意かどうか以前に重要だと思います。語学が得意でも、文章を読むのがそれほど好きではない人もいます。自分の興味のある文章なら喜んで読むけれど、そうでないものを読むのは面倒だという人も少なくないでしょう。でも、「文章を読むのが苦にならない」程度では、翻訳を仕事にするのは苦しいかもしれません。活字中毒というほど文章を読むのが好きというくらいが必要なのではないでしょうか。

ゆるいものから硬いものまで、ありとあらゆる種類の文章・文書を読むのが好き、母語で読むのはもちろんのこと、外国語で読むのすら好きであれば、ますますいいですね。

私は幼児の頃から本の虫でした。日本語だけでなく英語やドイツ語で本を読むのも好きです。でも、苦手な種類の文章や文書はあります。そういうのをお仕事で頂いたときは、ちょっと辛いですね。

 

⬜︎ 文章を書くのが好き

読むのが好きなだけでなく、書くのも好きでなければ翻訳は辛いでしょう。そして、この場合の「書くのが好き」は、「ブログを書くのが好き」のレベル以上に好きであることが重要です。なぜなら、ブログや日記には自分が好きなこと、自分の知っていること、自分で考えたことを書きますが、翻訳はそうではないからです。自分が書きたいことを書きたいように書くことと、他人が書いたことを別の他人が読みたいように書くことは違う種類の作業なんです。ある意味、俳優のようなところがありますね。台本をもとに、役になりきって文章を作る。それを楽しめると、翻訳の仕事にやりがいを感じられます。

 

⬜︎ 語学が好き

語学には終わりがなく、やればやるほど果てしない道であることがわかって来るものです。外国語そのものを仕事にするのではなく、「外国語を使って仕事をする」のであれば、その人の仕事に必要な範囲で外国語を習得すればよく、多少文法を間違えたりしても、それが致命的になることはほとんどないのではないかと思います。でも、「外国語を仕事にする」場合は、事情が異なります。語学が本能的に好きでないと翻訳は辛いかもしれません

 

⬜︎ 言葉が好き

上の「語学が好き」ということと被っていますが、言葉や表現、文章のリズムにこだわる人は翻訳の仕事に向いていると思います。私の場合は、文章のリズムにこだわります。音楽のように一定のリズムで流れる文章は、書いていても読んでいても気持ちがよく、内容が頭に入りやすいですよね。また、しっくりくる言葉や表現を探すことに熱心になれることが重要です。

 

⬜︎ 学ぶことが好き・調べるのが好き

翻訳の仕事の半分(分野によってはそれ以上)は調べ物です。オンサイトの仕事などでいつも同じ分野の同じ種類の文書を訳すのであれば、慣れて来るに従い、それほど調べなくてもよくなりますが、フリーランスとして仕事をしていると、いろいろな種類の仕事の問い合わせが来ます。特に英語以外の言語の場合は、翻訳者の絶対数が少ないこともあり、ありとあらゆる内容の案件を打診されます。毎回新しいテーマで、毎回調べ物をしなければならない場合も。

また、単に単語などを調べるだけでなく、原文の内容を理解しなければなりません。内容がわかっていなくても、調べた単語を使って文書の体裁を表面的に整えることは可能ですが、それは本来の意味での翻訳ではないと思います。翻訳とは、ある文章を読んで内容を理解し、その理解した内容を別の言語で他人が理解できるように書くことなので、原文の情報はいったん、翻訳者の脳内で消化される必要があります

いろいろな文章を読んで理解するためには、背景知識を蓄積していかなければなりません。新しいことを学ぶのが好きで、わからないことをわかるまで追求するのが好きな人にとっては、翻訳の仕事は楽しいと思いますよ。

 

⬜︎ 自分で計画を立てて、それに沿って作業するのが好き

フリーランスの在宅翻訳者の仕事は、「決められた納期までに、可能な限り高い品質で成果物を納品する」ことがほぼすべて。それ以外のことはほとんど要求されません。クライアントからは「何月何日の何時までに納品してください」と言われるだけで、それさえ守れば、朝仕事をしようが、夜中にしようが、自由です。毎日少しづつ一定量をしても、一気に大量にやっても、結果として納期に間に合うなら問題ありません。つまり、仕事をいつしようが(仕事場?キッチン?庭?カフェ?電車の中?)、どんな格好でしようが(パジャマでもスーツでも水着でも)、どんな態度でしようが(音楽を聴きながらでも、お菓子を食べながらでも)、まったくOK。

ですから、ストレスがその分少ないのですが、その代わり、誰にも何も言われないので、自律的に仕事をしなければなりません

私の場合は、受注した仕事の分量と納期を見て、作業計画表を作成します。といってもごく簡単な計画表で、基本的には分量÷日数でノルマを決めるだけのことなんですが、必ず不測の事態が発生する可能性を考えて設定します。単純に日割りしたのでは、ノルマをこなせない状況が発生したら、納期に間に合わなくなりますから。

頭が痛くて(あるいはお腹が痛くて)作業できない日があるかもしれないし、急に友達に遊びに誘われるかもしれないし、寝不足でやる気がしない日があるかもしれないし、、、、まあ、いつ何があるかわからないので、作業できない日もあることを考えて、バッファとして多少の日数をあらかじめ引いておきます。

また、大型案件を受注して、数週間、場合によっては何ヶ月もの長期戦になる場合は、(私の場合)必ず「中だるみ」があるので、それも考慮して無理のない計画を立てます。

計画が立ったら、あとはそれをひたすら守るだけ。ノルマは絶対に守り、余力があるときは前倒しで作業を進めておきます。計画よりも進んでいるときはとても気分がいいので、なるべく前倒しで作業するようにしています。

人にスケジュールを決められるよりも自分で決めたい人にはフリーランスとしての働き方が合っていると思います

 

⬜︎ 一人で作業するのが好き、もしくは苦にならない

翻訳の仕事には、複数の翻訳者がチームを組んで互いに調整しながら進めるタイプのプロジェクトもありますが、多くの仕事は一人作業です。特に在宅勤務の場合は、ずっと一人で作業するので、寂しがりの人には向かないかもしれません。一人で黙々と作業をするのが好き、静かな環境で仕事をするのが好きという人には良いですよ

 

⬜︎ 集中力・持久力がある

翻訳の仕事は成果物を納品することがすべてなので、そもそも完成させることができなければ報酬を貰えません。そして、完成させるためには集中しなければなりません。仕事をしたふり、やったつもりではお金が貰えないのです(本来、当たり前ですが)。そして、終わるまでは集中を持続させなければなりません。通訳と違い、翻訳には瞬発力や頭の回転の速さはあまり必要ないのですが、とにかく地道な作業を最後まで粘り強く続けることが求められます

 

⬜︎ 事務処理などの雑務が苦にならない

フリーランスの場合、翻訳者は翻訳の仕事だけでなく、事務や営業その他、すべての周辺業務を自分でやらなければなりません。細々とした多くのタスクをてきぱきとこなせる能力は重要です

しかし、私はこれが苦手です!全然楽しくないし、マルチタスキングできないので、すぐにわけがわからなくなります。やるしかないので、しぶしぶやってますが、、、。(ただ、この部分はお金を出して人に頼むこともできるので、必須条件ではないと思います)

 

⬜︎ 作業効率アップのための工夫をするのが好き

翻訳の仕事の多くは出来高制なので、できるだけ短時間で多くの量をこなすために作業の進め方を工夫することができれば、その分、仕事の受注量を増やして収入を増やせますし、または空いた時間で別のこともできます。ライフハックが好きな人はフリーランスに向いていますね

この点でも、私はいまいちです。翻訳の仕事を始めたのがアナログの時代だったということもありますが、もともとあまり実際的なタイプではないので、、、、。でも、仕事以外にもしたいことがたくさんありますから、できるだけ効率よくやりたいものです。

 

⬜︎ 営業が苦にならない

フリーランスは自分で仕事を取って来なければならないので、営業が苦手だとチャンスを逃してしまいます。特に駆け出しの頃は黙っていたら誰も仕事をくれませんから、積極的に自分をアピールしなければならないですね。

ただ、翻訳の仕事は一人で一ヶ月にこなせる量に限界があって、あまりたくさん問い合わせが来ても全部を引き受けることはできないので、仕事が軌道に乗って、ある程度の量が来るようになれば、営業をそんなにがんばらなくても大丈夫ですよ。

 

⬜︎ 先のことがそれほど心配にならない

月に一定額でクライアントと契約していない限り、フリーランスの収入は不安定。問い合わせは急に来るので、明日のことはわかりません。先のことをまったく心配しない人はいないと思いますが、予測のつかない未来をどれだけ不安に感じるかには個人差があるでしょう。心配性の人には精神的にきついかもしれません。

その人のそのときの生活状況によって収入の安定性がどれだけ重要になるかが変わりますから、あまり無責任なことは言えませんが、仕事が少ないときには「忙しくなくてラッキー」「今のうちに遊びに行こう」「せっかく空いた時間で勉強しよう」などとポジティブに考えることができる性格なら、そんなに先を心配せずに済むのではないかと思います

 

ざっと考えてまとめてみましたが、思いつかなかった重要な点が他にもあるかもしれません。いろいろ書いたので、「なんか大変そう!」と思われた方もいるかもしれませんが、翻訳の仕事は自分に合っていれば楽しい仕事ですし、在宅フリーランスというワークスタイルには良い面がたくさんありますよ。(なんといっても自由!)