英語書籍を通して世界を知る 日本語では得られないもの  

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旅行に出かけると、必ず最低1冊はその国に関する本を買います。観光地や国立公園なら、たいていその土地に関する英語書籍が観光客用に売られています。歴史文化や自然についての本、写真集、料理の本など。

大きな観光地以外の場所に滞在したときには、書店へ行って面白そうなものを探します。その国の社会文化がわかるような小説やノンフィクションの英語版を見つけるのが楽しみ。本当はその国の言葉で書かれたものが読めたら一番いいけれど、世界中の言語を学ぶことはできないのでしかたないですね。

 

私は外国の社会や文化にとても興味があって、いろいろな国について書かれた本をよく読みます。日本人著者が特定の国について日本語で書いた本も好きです。でも、日本人の書いたものはやはり日本的な視点で論じられているもので、それだけ読んでいるとなかなか日本的な思考の枠から出ることができません。日本語以外の言語で書かれたものを読むことは、異なる視点で物事を見ることでもあり、それだけ思考の幅が広がるように思います。

 

ドイツに住んでいるのでドイツ語の書籍も読みますが、世界中の作品は圧倒的に多く英語へ翻訳されているので、英語で読むことが多いです。日本語には翻訳されていない素晴らしいものがたくさんありますよ。

 

以下は私のお気に入りの本のいくつかです。

 

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これは、オーストラリアのデインツリー国立公園へ行ったときに、熱帯雨林に魅せられて買ったものです。デインツリーは世界最古の熱帯雨林。森の中を歩くツアーに参加したり、ケーブルカーで空から熱帯雨林を見下ろしたり、素晴らしい体験ができました。もっと熱帯雨林のことが知りたいと思い、公園内のブックストアでこの本を書いました。

 

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これはインドネシアの文豪、プラムディア・アナンタ・トゥールの「ブル島4部作」の3作目です。オランダの植民地時代のジャワの青年が民族意識に目覚めていく物語。この本を入手したときほど、英語が読めてよかったと思ったときはありません。というのは、ブル島4部作のうちの1作目「人間の大地」と2作目「すべての民族の子」を、私は日本語で読んでいたのです。大変な名作で、貪るように読みました。日本語への翻訳は押川典昭氏によるもので、大変こなれた美しい日本語、まさに名訳です。でも、2作目の後、なかなか3作目の日本語版が出版されませんでした。まだかまだかと首を長くして待っていたのですが、10年待ってとうとう「もう待てない!」と英語版で続きを読んでしまったというわけです。(その後、日本語版が出版されました。)残念ながら、押川氏の翻訳の方が英語版よりも優れているように感じましたが(ジャワの社会文化は複雑な敬語システムを基盤として上下関係の強いもののようですが、英語だとそれがフラットになり過ぎて、アジア文化のニュアンスが薄れてしまう気がしました)、続きを知ることができてホッとしたのを覚えています。ですから、この本は私にとって、とても重要な一冊です。

 

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これは文化人類学エッセイの古典中の古典、英国の社会文化人類学者ナイジェル・バーリー氏がカメルーンでのフィールドワークについて綴ったものです。抱腹絶倒。文化人類学本はかなりたくさん読んでいますが、私の中ではこれがベスト。バーリー氏のエッセイはいくつか日本語に翻訳されていますが、このThe innocent anthropologistには日本語版がないようです。

 

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これはバリ島に1ヶ月滞在していたときに買いました。バリ人の家庭にホームステイしながら生活の様子を観察していたのですが、もっと深いところが知りたいなと思って読んだもの。長年バリ島に住み、言語と文化を本格的に学んだバリのエキスパート、Fred B. Eiseman氏によるエッセイ集。エッセイと言っても主観的な軽い随筆ではありません。非常に緻密な観察と分析のもとに書かれていて、バリカルチャーを本格的に学びたい人向け。この本で知った複雑なバリ島の暦はすごく興味深いものでした。

 

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こちらはアメリカを旅行したときに、第二次世界大戦中に日系アメリカ人が収容されたマンザナール強制収容所跡を訪れ、そこのブックストアで書いました。アメリカへ渡った当時の日本人がどんな生活をし、戦争中どんな体験をしたのか、初めて知りました。過酷な体験の記録ですが、著者の人柄が出ていて、読後感は悪くありませんでした。

 

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これはカイロのアメリカン大学キャンパス内のブックストアで見つけたもの。エジプトではピラミッドを中心に考古学に関する書籍は英語だけでなくいろいろな言語で売られています。もちろん、買って読みました。でも、考古学だけでなく、私にはとても気になったのです。エジプトで女性として生きるって、どんな風なの?と。エジプトの女性の生活について社会学的に分析したこの本。これ一冊だけでは深く理解することはできませんが、とても興味深い一冊です。

 

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これはアメリカ人ノンフィクション作家Jean P. Sasson氏の書いたサウジアラビア王家の内部事情暴露本。Sasson氏はサウジのプリンセスの一人と個人的に友達になり、プリンセスの話を代筆したそうです。なかなかセンセーショナルなので、ちょっと眉唾ではと疑う部分もありますが、読み物としてはとてもよくできています。真に受け過ぎない方がいいかもしれませんが、かなり面白い。

 

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これは真面目な文化人類学本。主にタイのイサーン地方の人々の生活について書かれています。タイには何度か行ったことがありますが、観光地ではない田舎の人々の生活やメンタリティについて知ることができ、興味深いです。

 

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インドの女性の一生について書かれた本。インドの女性の社会的地位は一般的にとても低く、読んでいてかなり辛くなる面もありました。インドは英語が公用語の一つなので、英語で書かれた書籍は膨大な数でしょうね。時間があったら、もっといろいろ読んでみたいです。

 

これらは私が英語で読んで来た世界本のごく一部です。硬めのものをご紹介しましたが、小説やコミックスを買うことも多いですよ。それらはまた改めてご紹介します。

 

これからもまだまだ世界のいろんな国の本が読みたいですが、、、、、国の数は多いから、時間がいくらあっても足りませんね。